骨盤臓器脱のステージ -女性泌尿器科-
骨盤臓器脱のステージは、現在国際尿禁制学会制定のICS分類がもっとも使用されています。POP-Qという腟内の9つのポイントの長さを測る、専門家向けのステージング法がありますが、この簡易版が分かりやすいので、こちらで説明します。
腟口からどのくらい出ているかでステージが異なります。
ステージ1 | ステージ2 | ステージ3 | ステージ4 | |
腟口から出ている度合い | -1cm | -1cm~+1cm | +1cm~ | 完全に翻転 |
治療 | 骨盤底筋のトレーニング | 当院では手術対象 | どこの病院でも手術対象 | 手術対象 |
ステージ1
まず腟口から-1cmまでしか脱の先端が下がらないのが、ステージ1です。
一度でも出産経験のある女性は、このステージ1くらいにはなっていること多いのですが、自覚症状がある人もあれば、まったく自覚症状がない人もいます。自覚症状のある人たちには、まず骨盤底筋トレーニングをしてもらいます。骨盤底筋トレーニングは、正しくできる人と正しくできない人がいます。正しくできているという自信がない人は、一度骨盤底トレーナーに確認してもらうことをお勧めします。
ステージ2
脱の先端が、腟口から-1cmから+1cmの間にあるのが、ステージ2です。
この段階になると、ほとんどの人が下垂感等の自覚症状がでてきます。保存的な治療としては、骨盤底トレーニングと、リングペッサリーの自己着脱です。この段階では、またほとんどの病院では手術をしてくれません。
しかし当院では、このステージ2の方でも、患者さまがご希望になれば、積極的に TFS手術しています。なぜならばステージ2でも、下垂感や、排尿の問題、排便の問題などで、生活の質が大変落ちている人がいるからです。
ステージ3
さて脱の先端が、腟口の+1cmより先にでている脱をステージ3といいます。このくらいになると、どこの病院でも手術をおすすめするようになります。
ステージ4
さらに腟の前壁や後壁が完全に翻転してしまって、膀胱・子宮・直腸が全て出てしまっている状態がステージ4です。
もちろんこのステージ3・4の状態でもTFSによる日帰り手術で、修復可能です。
女性医療クリニックLUNAグループ
理事長 関口 由紀