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骨盤臓器脱からの開放 -女性泌尿器科-

注:実在の患者さまではありません

Cさんは、70歳です。
50歳前後から、尿の回数は、他人より多いと感じていました。しかし特に生活に支障がなかったので、気にしていませんでした。ところが、2~3年前より夜間尿が1回から3回へと増悪、さらに6ヶ月前より午後になると、外陰部から何か丸いものが落ちてくる感じと、下腹部不快感が出現するようになりました。さらに昼間の頻尿も、1日10回以上となり、強い尿意を感じ、これをがまんすると尿がもれてしまうようになったため女性泌尿器外来を受診しました。

 外陰部の診察の結果は、腟口より膀胱と子宮が出たり引っ込んだりする性器脱のステージ3という状態でした。主治医からは、まずペッサリーリングという丸い器具を腟から入れて、子宮を持ち上げてみましょうと説明されました。入れる時はすこし違和感がありましたが、腟のなかに入れてしまうと、まったく違和感を感じません。
しかし膀胱や子宮の下垂感は、100%取れたというわけではなく、60%くらいの改善率でした。

主治医は、さらに次のように説明をしてくれました。
“アメリカとかヨーロッパでは、自分でこのリングを出し入れしている人も多いですよ。もし自分で、朝入れて、夕方出して、洗って乾かしておくようにできるようになれば、病院に通うのは半年に1回くらいで充分になりますよ。”
もともとあまりクヨクヨしない性格だったので、そんなもんかと思い病院を後にしました。
翌日自分でリングを出し入れしてみました。意外と簡単でひと安心。これで十分と思い、6ヶ月に1回の通院が2年ほど続きました。

2年たったある日、病院に行くと、主治医が
「Cさん、ペッサリー治療が、もう2年を超えたけど、手術のご希望はありませんか?」と質問されました。
手術の話を、主治医がするのは今回が初めてです。今のところ生活には困っていませんでしたが、相変わらずの頻尿と、子宮下垂感はあります。特に夕方になると症状はいちじるしく、夕食の支度に差しさわることもありました。
主治医は
「絶対治るという保障はできないけれど、かなりの確率で、頻尿や子宮下垂感は改善しますよ。」
と説明してくれました。さらに
「私のしている手術は子宮をとらないから、手術時間も短いし、入院期間も短いので高齢者向きなんですよ。」という医師の説明も気に入りました。

Cさんは、ペッサリーリングの治療を開始してから3年目に、TFSという手術を受けました。
手術翌日に退院となりました。術後すぐから頻尿はよくなりました。なんだこんなに簡単ならば、はやく手術を受ければよかったと思う今日この頃です。

女性医療クリニックLUNAグループ
関口由紀理事長