陰唇癒着(左右の小陰唇の皮膚及び粘膜がくっついてしまう病気)
癒着陰唇とは
左右の小陰唇の皮膚及び粘膜がくっついてしまう病気です。乳児の先天的癒着陰唇はよく知られていますが、閉経後の女性でも癒着陰唇がみられることがあります。
※閉経後の女性の場合は、低エストロゲン状態が原因となっていることが多いです。
※癒着(ゆちゃく)とは、本来はくっついていないところが炎症などのためにくっついてしまうことです。
原因
◉エストロゲン低下及びそれに関係した外陰部の萎縮
◉外陰部の慢性炎症
◉外陰部の手術や分娩時の傷による影響
◉外陰部の皮膚の病気(硬化性萎縮性苔癬、扁平硬化性苔癬、粘膜類天疱瘡)
◉ベーチェット病
◉外陰部がん
※苔癬化(たいせんか)とは、皮膚が厚くなり、表面にしわや溝が深くくっきりと現れた状態のことです。
症状
癒着部位のかゆみ・ヒリヒリ感などが出ます。
癒着が進むと腟口や尿道口が塞がってくるため、排尿がしにくいなどの症状が出ます。
治療
癒着陰唇の程度によって治療を選択します。
①閉経後の女性の場合は女性ホルモンクリームの塗布
②ステロイドホルモンクリーム
③指を使って、外陰部をひろげるようにマッサージを行う
④炎症部位の切除
⑤高度の癒着の場合は癒合陰唇手術
手術
高度の癒着陰唇の場合は、尿閉のリスクを回避するために手術が強く推奨されます。
①静脈麻酔及び局所麻酔下におこないます。
②手術時間は30~60分
③癒合部位の皮膚、粘膜(場合によっては筋層)を切断、切断部位を縫合します。
④再発予防のために、外陰部へレーザー照射を手術と同時に行う事が推奨されます。
合併症
手術部位の疼痛、感染、出血などがありますが、ほとんどの場合は術後数日でおさまります。
術後のケア
再発しやすいため、術後は家庭での保湿などのケアが非常に重要です。
保湿ケア
ヒルドイドクリームやLUNAお勧めのフェムゾーンケアを毎日外陰部に塗ります。
定期治療
外陰部へのレーザー照射を1年毎に行うと、再発のリスクが少なくなります。
2023.11.8
中村綾子医師