性欲低下について① おんなの性欲♡
女性誌の取材を受けました★
「性欲低下の原因と対策」というざっくりしたテーマを頂きました。
…おそらく雑誌の編集されている方は分かってらっしゃらないかと思いますが、めちゃ壮大なテーマです(笑)
…で、夏休みなのに勉強しました。もちろん、臨床知識としてはわかっていましたが、
ちゃんと系統だてて説明するとなると勉強しないといけません。
もったいないのでブログの記事にします(笑)
10月24日に性科学会で発表した「挿入障害の治療中断リスクの検討」についても
内容を噛み砕いたものを早めにアップしようと思っていますので、乞うご期待です♡
さて、今日はおんなの性欲とはなんぞや、というところを説明致します。
「性欲」とは、「性行動(セックス、マスターベーション、その他)をしたいと思う欲求」のことです。
「性欲」と一口にいっても、女性と男性では全く別物であるということを知っていただきたいと思います!
「性反応」という言葉をご存じでしょうか?ヒトの性行為中の段階的な生理学的変化をあらわしたものです。
精神科医のKaplanは、性反応を「性欲相」→「興奮相」→「オルガズム相」としました。
(テストに出ます!!)
性的欲求(性欲)があり、性的刺激により性的興奮が起こり、オルガズムが起こるという、誰にでも理解しやすいモデルです。
このモデルは男性の性反応では明瞭です。
一方、多くの女性では明瞭な「性欲相」がなく、性的欲求と性的興奮の境界はあいまいです。
少しぴんと来ないかもしれませんが、
では、皆さんは普段「セックスしたい!」と思ってセックスをしていますか?
相手が誘ってきたから、「なんとなくそんな気分になった」とか、
キスやハグをしていたら「なんとなくしたくなった」とか、
パートナーを愛しいと思ったときに「体をくっつけたくなった」とか、
そんな感じの方も多いのではないでしょうか?
極端なことを言えば、女性の性欲は、「あってないようなもの」なんです笑
(話は違いますが体の相性も「あってないようなもの」です笑)
この、性的興奮とあいまいな性的欲求のモデルをあらわしたのがBassonです。
Kaplan以前の性反応モデルが直線的であるのに対し、Bassonの性反応モデルは循環型です。
わかりやすくシンプルにすると、
性欲はありますが、多くの女性にとって、性欲は「セックスしたい!」と明瞭に自覚されるというよりは、相手との親密度によって生じます(テストに出ます!!)。
「男は好きじゃない人ともセックスする、女は好きな人じゃないとセックスしない」というのは、こうゆうことです。
多くの男性は相手との関係性のなかでセックスをするというよりは、内的能動的な性欲によってセックスをします。
一方、多くの女性は相手との関係性によって生じる外的受容的な性欲によってセックスをします。
もちろん、比較的若年の女性や、ホルモンの値が充実している女性では、
男性のように内的能動的な性欲により「セックスしたい!」と自覚してセックスをする女性もいます。
さて、モデルに戻りますが、
親密度の上昇によって生じた性欲は、性的刺激への受容性を高め、興奮を呼び起こします。
興奮相では皮膚が紅潮したり、汗がにじんだり、どきどきしたりという身体反応が現れます。
またクリトリスが充血したり腟が濡れたりします。
「興奮しているな」と自覚がある場合は、それによりさらに性欲が増し、それにより興奮も増していきます。
ここで初めて「セックスしたい」「この先を続けたい」という気持ちになるのです。
そして、十分に興奮状態を高め、維持することで、情緒的・肉体的充足感をえることができます。
オルガズムをもって肉体的充足とすることもありますが、なくても満足度の高いセックスをしている方は多いと思います。
情緒的・肉体的充足感を得ると、相手との親密度はさらに高まり、次の充実したセックスへとつながります。
このすべての相に、自律神経系、セックスホルモン、心理的要素、その他心身のあらゆる不調がかかわってきます。
これがBassonの循環モデルの簡単な説明です。
女性の性欲の問題は、この図を元にすると非常にわかりやすくなります。
私はこの性反応モデルを医学生たちに知って欲しいと思っています。
こんなのがあるんだ。ぐらいでいいのです。だって人間の生理学的反応なんですよ。医者がしらんでどうするよ。
もちろん、一般の人たちみんなに知って欲しいんです。テクを磨くより、この理論をわかっている方が何倍もいいセックスができると思うんですよね。
もし、友達にも知って欲しい!と思った方はシェアお願いします♡
さて、具体的に見ていきましょう。
性欲がわかない場合、どんなことが原因として考えられるのでしょうか…?
次回から、女性の性欲低下の原因と解決方法について説明していきます!
2021.11.2
村田佳菜子医師