中部尿道スリング手術の違い
骨盤底筋や恥骨尿道の靭帯の脆弱化による、腹圧性尿失禁に効果がある手術方法です。
当院で行っているTFS手術と保険適応されているTVT・TOT手術の違いについてご説明させていただきます。
詳しい歴史は下記のコラムでお話しています。
【尿失禁手術後の排尿困難と尿失禁手術の歴史】
TFS手術 | TVT手術 | TOT手術 | |
---|---|---|---|
診療 | 自費 | 保険 | 保険 |
麻酔 | 静脈麻酔+局所麻酔 | 全身麻酔 | 全身麻酔 |
入院の有無 | 日帰り | 2泊3日以上 | 2泊3日以上 |
平均手術時間 | 30分弱 | 30分弱 | 30分弱 |
成功率 | 90%弱 | 90%弱 | 80~90%弱 |
メリット | ・創部が小さく出血量が少ない ・全身麻酔ではないため日帰りで手術が可能 |
尿道自体の機能が悪い重症の尿失禁にも効果がある | TVTで起こる合併症である腸損傷を回避できる |
デメリット | 保険がきかない | 稀に重篤な合併症が起きることがある | ・尿道自体の機能が悪い重症の尿失禁に対する効果が低い ・術後太腿内側に痛みが出やすい |
テープ | 幅7mm | 幅10mm | 幅10mm |
手術方法 | テープは7mm幅と細く、図のように先端のホックを尿生殖隔膜に引っ掛け、尿道の中部に移植し尿道を支える手術です。 | 中部尿道部にあたる腟壁と下腹部の計3ヶ所を1cm前後切開し、尿道と腟の間にポリプロピレン製のテープを通して尿道を支える手術 | 中部尿道部にあたる腟壁と両足内股の付け根の部分の計3ヶ所を1cm前後切開し、尿道と腟の間にポリプロピレン製のテープを通して尿道を支える手術 |
まとめ | TOT、TVTのデメリットを 改善した手術 |
尿道機能低下の方にも 効果がある |
TVTよりも安全性が高い |
2023.11.13
中村綾子医師