プレ更年期とは
医学的には更年期という定義はあるけれど、
「プレ更年期」と「ポスト更年期」に医学的な定義はありません。そんなものは無いという人たちもたくさんいます。
ただ、女性にしてみれば、それでは納得できないことも多いのです。例えば病院に行って調子が悪くて血液検査をして「あなたは女性ホルモンがまだあるから更年期じゃありませんよ。」といわれる人々はいっぱいいます。35~45歳位の人々は女性ホルモンはたっぷりあるのに、20代とは違う体調不良がある。
これを一般的にプレ更年期といいます。
プレ更年期とは、「20代とは違って、30代後半くらいから、20代の時ほどには元気がない。しかし血液検査をすると女性ホルモンに関しては正常値かむしろ高値」な状態です。
最近は、更年期の定義もだいぶ変わってきて、昔は女性ホルモン(主にエストラジオール)が正常値だったら、「あなたはまだ更年期じゃない。」といって、ホルモン補充をしてくれないクリニックも多かったんですが、最近は40歳以上で、卵巣刺激ホルモン(FSH)が高値で、自律神経失調症状やメンタルの問題があれば、女性ホルモンが正常であっても広い意味で更年期ということで、積極的に女性ホルモン補充をしてくれるクリニックも増えています。
つまりエストラジオールが正常でも、更年期じゃないとは言えないことが一般的になっています。
ただし、全員が女性ホルモンを補充しなければいけないというわけではありません。更年期障害は、多くは生死にかかわらないが、QOL(生活の質)が下がる疾患です。大事なのは個人の選択肢があり、いくつかの選択肢の中から本人が選べるというのが、QOLを上げる治療の一番のポイントです。色々説明を受けて、自分で選択して治療を受けるのがよいでしょう。
女性ホルモンは多くても少なくても良くないです。若い時は、たくさんホルモンが出る事に体が耐えられますが、35、6歳以降は体の方が弱くなってくるので、過剰な女性ホルモンに耐えられない人も出てきます。
身体が弱ってくると、不規則に耐えられなくなるので、ちゃんと朝起きて夜寝る、ごはんを朝昼晩同じ時間に食べる、間食は控えて、栄養バランスのとれた食事を摂る等の規則性を大事にする生活をし、さらに気をつけて定期的に週2,3回運動をする。まず、そこから開始するというのが大事です。
女性ホルモンを整えるというサプリメントも良いです。ただし、サプリメントはひと瓶飲んで全く効果が無ければ次のものに変えましょう。漢方もおすすめです。日本の漢方薬局は優れていて、とても質の良い漢方薬を薬局で購入する事ができます。他には、マッサージや施術も良いです。何でも気持ちがいいと思われる事をして、あまりストレスを貯めず規則正しい生活をするというのが、先ずベースになります。
それでもダメな場合には、閉経前なので、低用量ピルやホルモンを抑えるようなお薬がありますので、婦人科を受診してください。
プレ更年期が酷い人は、本当の更年期も苦しい人が多いので、プレ更年期のうちにある程度楽になる生活パターンを作って、第一の人生の戦いに備え、そのあとの楽しい人生に向かって準備をして過ごしてください。
2024年7月19日
関口由紀医師