タバコは、美容の大敵 -女性内科-
本日は、タバコの話をしようと思う。
私が幼児であった昭和40年代・・・
関口家では、母を除く全員の大人(祖父、祖母、父、叔母、叔父)が喫煙をしていた。家族喫煙率83%である。当時はハイライトだった。家の中はいつもタバコの煙にみちていた。いつのころから銘柄が、みんなのハイライトからセブンスターに変わった。
テレビ、映画でも、大人はみんなタバコを吸っていた。
その後、祖父が脳梗塞、祖母が胃がん、叔母・叔父が肺がんで平均寿命を10~20年残して次々と亡くなり、現在喫煙者は父だけとなった。
母、夫、私、妹は、非喫煙成人となったのだ。
家族喫煙率は、20%に低下した。関口家でも、時代の流れと同様の喫煙率低下が起こっている。
メディアは種類が増えたが、映像でタバコをすっている大人の姿を見ることが本当に少なくなった。
私は、タバコを吸っている人が近くに来るのもいやだというほどのタバコ嫌いではない。日常的に家庭にタバコがあったし、現在も帰宅すると父がプカプカふかしている。
しかしタバコに関しては、その依存性に恐怖を感じている。
その元凶は、父である。
父は、家族を脳梗塞、癌で失ったばかりではなく、自分も10年前に胃がんで手術をした。この時もタバコをやめなかった。また5年前に妻(つまり母)が、間質性肺炎と診断された。この間質性肺炎は、父が吸っているタバコの煙を間接的に吸ったために起こった可能が大きい。
そして間質性肺炎は、いずれ必ず死に至る病なのである。それなのに父は、まだタバコを吸い続けている。変な言い方だが、タバコと酒以外に関しては父は本当に体に気を使っている。運動もするし、食べすぎもない、ストレスもためないし、睡眠時間も充分である。
しかしタバコと酒は、やめられないのだ。
酒とタバコの依存症なのだ。
この依存は、20歳前にタバコを吸うと特に強く起こるらしい。父は、18歳から吸ったようだ。くれぐれも子供が20歳になる前には、タバコを吸わせてはいけないと思う。
タバコの害としてもっとも怖いのは癌ではなく、本人も周囲の人もふくめて、肺気腫をはじめとする閉塞性肺疾患が高率に発症することである。この疾患群の末期は本当に苦しいそうである。死ぬまで、酸素を常に吸い続け、寝ると苦しいので座って睡眠をとらなければならなくなる。
当然この恐怖は、父に何度も説明済である。しかし現在のところ父は、禁煙治療を拒否、喫煙をやめるつもりはないらしい。おそろしいことである。
さて私が、専門にしている骨盤底障害であるが、これにもタバコが悪いことが分かっている。つまりタバコを吸っていると尿失禁や、骨盤臓器脱になりやすくなるのだ。その原因として考えられているのは、
1、慢性の咳による尿道や膣の支持組織のダメージ
2、ニコチンによる膀胱異常う収縮の誘発
3、コラーゲンの生成と質の変化
4、内尿道括約筋にあるαレセプター活性の減少を助長する抗女性ホルモン作用
などである。
ちなみにタバコの抗女性ホルモン作用は、尿失禁や骨盤臓器脱ではなく、お肌の老化や、骨密度の低下なども引き起こす。タバコは、美容にも大敵である。
女性医療クリニックLUNAグループ
理事長 関口 由紀