「妊活入門 妊活、てなにすればいーの??④ 食事~必須微量元素~」
さて、食事の最後は、妊活で気にしたい栄養素についてです。
前回三食の食事でバランスよく!とお話しましたが、いくらバランスよく食べていても、妊娠に際しては十分に摂りきれない栄養素があります!
海外の研究では、妊活中はビタミンやミネラルをサプリで補うことが推奨されているのです。
具体的には、特に気にしたい栄養素は6つ!鉄、カルシウム、亜鉛、ビタミンB群、葉酸、ビタミンDです。
ひとつひとつ見ていくと…
鉄。日本人女性は鉄分が不足していて、知らないうちに貧血になっている方が多いことが特徴です。魚の赤身やレバーなどに多く含まれますが、毎日これらを十分に摂ることはなかなか難しいです。鉄分の入ったサプリを飲んでいる人は排卵障害による不妊riskが40%も低いというデータもあります。
カルシウム。云わずと知れた骨の原料ですね。一般的に現代人はカルシウムの摂取不足の状態にあります。
亜鉛は鉄の次に人体中に多い必須微量元素(人が自分の体の中で作れないので、接種しなくちゃいけな元素)です。DNAの合成を助けます。このため、男性では精子をつくるのに重要で、妊活中の男性は特に積極的に補った方がよいです。ただし過剰摂取には気をつけましょう。
ビタミンB群は、あらゆる生体活動を促進する補酵素で、8種類あります。腸内細菌が合成を促進しているため、腸内環境を整えることもビタミンB群の働きをよくすることに繋がります。
そして、なかでも、注目したいビタミンを2つ紹介いたします。
ひとつめは、葉酸。
葉酸は、ほうれん草から発見されたビタミンB群の一種で、DNAの合成を促進し、細胞が作られるのを助けます。まさに、赤ちゃんの体を作るのに必要なビタミンです。
臨床的には、妊娠前から接種することで、赤ちゃんの神経管の奇形の発症率を下げたり、妊娠中も継続することで、早産や赤ちゃんの成長異常、その他の妊娠合併症の発症を抑えることができる可能性があります。
具体的には、妊娠一か月以上前から、食事以外にサプリなどで一日400μgを接種します。妊娠したあとも同量を継続します。妊娠後期の過剰摂取で赤ちゃんの喘息のリスクが上がるという報告がありますが、用法を守っていれば問題になることはありません。
厚生労働省では、通常食事からの葉酸接種推奨量を一日240μgとしており、妊活中の女性には更にサプリで400μgを摂取することを推奨しています。ちなみに、なんでも摂り過ぎはよくありませんが、厚生労働省はサプリからの摂取量の上限を1000μgとしているようです。
厚生労働省まで…。
なんでこんなに葉酸サプリが流行っているのか??
商業主義にはおどらされないぞ!私は自然の食事からとるんだ!
…という方もいらっしゃるかもしれませんね(笑)
食事から接種できる葉酸は天然葉酸(ポリグルタミン酸型葉酸)で、体の中でモノグルタミン酸型葉酸に変換されてから吸収されます。一方、サプリなどに含まれる葉酸は合成葉酸といい、始めからモノグルタミン酸型葉酸です。なんで、天然葉酸よりも吸収率がいいのです。天然葉酸が吸収率50%であるのに比べ、合成葉酸は85%です。
食事から葉酸を240μg接種する場合、ほうれん草にすると100gちょっと。1/2杷。2,3本くらいが一緒になった株が4株くらいです。
なんで、吸収効率を考えると天然葉酸は合成葉酸の60%くらいなんで、一日に必要な葉酸をすべて食事で摂ろうとすると、ほうれん草360gくらい、2杷いかないくらい摂らなくちゃいけないということですね。
毎日になると割としんどいですね。なんで、悪いことはないです。サプリ飲みましょう(笑)
最後は、ビタミンDです。
ビタミンDは骨を作るのを助けるビタミンです。
妊娠前の摂取量が、卵巣予備能つまり、卵巣中の卵子の残存数の目安を表すAMH(抗ミュラー管ホルモン)の上昇と相関関係にあるといわれています。また、体外受精での妊娠率がupしたり、不育症のリスクが下がったりとしたという報告もあります。
妊娠中の摂取で新生児くる病を予防できます。くる病は骨がもろくなってしまう病気です。
ビタミンDはきのこ類、魚介、卵、乳製品に多く含まれます。
また、ビタミンDの産生に日光浴がとても大切なのです!
環境省や日本ビタミン学会では夏は15分から30分、冬は30分から1時間日光浴をしたり、日陰でもいいので外で過ごすようにすすめています。
朝日を浴びる習慣をつくれば、マタニティブルーも予防できますね。
…という訳で、朝のカップルでのウォーキングは、一石二鳥ですね!
「妊活入門 妊活、てなにすればいーの??」
生活習慣の見直し編はひとまず終わりです!
大事なのは、①体重、②運動、そして③食事でしたね!
できるところから少しずつ始めていきましょう★
2021.4.14
村田佳菜子医師