「妊活においてstep upに躊躇は禁物! 妊活入門 妊活、てなにすればいーの??⑦ 不妊クリニックでの治療方針を決める3要素」
妊活セミナーに参加して下さった方々が気になっていたことのひとつが、ずばり、妊娠率でした。
実際妊活をしたとして、どれくらいの割合で自分は赤ちゃんを授かれるのか??
根本的な問いですね。
今日は
タイミングは何か月tryすればいいのか?
いつ不妊クリニックに行った方がいいのか?
不妊クリニックでは
どんな治療をすすめていくのか?
お話いたします!
さて、さっそくタイミング法の妊娠率なのですが、
結論からいいますと、20%です。
つまり、5周期(5ヶ月)タイミングを取り続けたら一回は妊娠する、という値ですね。
但し、これは正常の妊娠能力のあるカップルです。
年齢があがれば妊娠能力は下がりますので、この確率が下がっていきます。
具体的には、
30歳以上では、
6ヶ月で65%、
12ヶ月で78%の女性がタイミング法で妊娠します。
ん?え?
じゃあ、結局、何か月tryすればいいの?
いつ不妊クリニックに行った方がいいの?
て疑問がでてきますね。
こんなデータがあります。
タイミング法で妊娠した女性のうち、64%が6ヶ月以内の妊娠でした。
原因不明の不妊症の場合、
若年女性であってもタイミング法での妊娠率は0-5%でした。
つまり、何が言いたいかというと、
タイミング法で妊娠するとしたら、6ヶ月以内に妊娠する可能性が高く、
6ヶ月以内に妊娠しなかった場合は、それ以降はタイミング法で妊娠する可能性は低いということです。
なので、
6ヶ月ダメだったら医療機関に相談しましょう(次の手段を考える)。
自然妊娠率は、33歳までは変わりませんが、34歳を超えると徐々に低下し、40歳を超えるとさらに低下率は加速します。
また、40歳以上では妊娠の既往のある女性は自然妊娠を期待できますが、妊娠既往のない方は自然妊娠の可能性は数%であり、
加速度的に妊娠率が低下することを考えると、強い挙児希望がある場合は自然妊娠にこだわらず、始めから積極的な不妊治療を検討する必要があります。
まとめると、図のようになります。
ご自分はどのぐらいの期間タイミングをtryして、どの時期に不妊治療クリニックを受診したらよいか、なんとなくイメージがつきましたでしょうか?
不妊クリニックを受診した後の流れについて簡単にお話いたします。
まずは、スクリーニング検査をうけます。
一般的なものだと、採血で基礎疾患の有無やホルモンの状態を確認できます。
子宮や卵巣を観察するために経腟超音波を行います。
卵管造影検査は、膣から子宮内に造影剤を注入し、X線で造影剤の流れを確認します。
卵管がちゃんと通っているかを確認できます。検査によって詰まった卵管が開くこともあり、治療的な意味もあります。
精液検査は男性側の精液を顕微鏡で観察し、精子の量や、運動量、奇形率を確認します。
これらを確認し、それそれの状態に応じて治療方針を決定していきます。
検査結果を踏まえたうえで、妊娠するという意味で大事な要素は、
女性の年齢、卵巣予備能、精子の状態の3つになります。
具体的には、
・女性の年齢が35歳未満か、35歳から39歳か、40歳以上か、
・AMHの値が、2以上、2から1、1未満か、
・動いている精子が多いか、少ないかを目安にしていきます。
AMHというのは、
抗ミュラー管ホルモンといって、卵巣内の残存卵子数の目安を表しており、30歳以上の女性では、卵巣予備能を表します。
採血でわかります。
この3つを考慮して、
条件が良い場合はタイミング法を3-4周期やってみて、
妊娠に至らなければ人工授精、
これも3-4周期やってみて妊娠に至らなければ生殖補助医療の介入、となります。
人工授精は、
濃縮した濃い精液を子宮内に注入する方法で比較的自然妊娠に近いと言えます。
生殖補助医療(ART)は、
体外受精や顕微授精で精子と卵子を授精させ、胚にまで発育させ、子宮に移植する方法です。
条件が中等の場合は、タイミング法を飛ばして人工授精から、
条件が比較的悪い場合はいきなりARTとなります。
このように、基本的にはより自然に近い方法から試して、期間を設け、妊娠に至らなければ次のステップへと進みます。
生殖補助医療を用いた場合でも、
自然妊娠と同様に、妊娠率も流産率も、30代前半35歳までは横ばいですが、35歳から40歳までに急激に低下します。さらに、40歳からの低下は急速です。
つまり、カップルの妊娠出産への本気度にもよりますが、できれば35歳、遅くとも40歳までには妊活を始め、
妊娠に至らない場合には適切な時期に躊躇せずクリニックに受診することが大事だと思われます。
40歳を過ぎた方は、自然妊娠にこだわらず、早めにクリニックを受診しAMHや精液検査などで現状を把握し治療を開始するようにしましょう!
セミナーに参加していただいた方から
「一年以上タイミング法で妊娠しないが、不妊クリニックを受診することを迷っている」
「人工授精を勧められたけど迷っている」
「体外受精を迷っている」
という声を頂きましたが、迷っている暇はありません!!
…と、もしかしたらめちゃくちゃ焦らせてしまったかもしれませんが💦
迷っている暇がないのは、絶対に赤ちゃんが欲しいなら…ですね。
個人的には絶対結婚しなくてはいけないとも、絶対子供を産むべきとも思っていません。
現代人は簡単に家族以外のコミュニティーを作れるので、
結婚に向いていない人は独身でいる方が幸せな場合もあるんだそうですよ。
子供はいない方が生涯幸福度が高いという研究もあるそうです(笑)
そりゃそうですよね。
子供ってコスパ悪いと思うんですよ。
成人まで18年間、最低限の労力とお金と時間をかけてあげても、私たちは子供から何が得られるんでしょうか?
私は、子供を育てた見返りって、子供に求めちゃいけないと思ってます。
その18年間の労力とお金と時間は、たぶんかけ損になると思います(笑)
でも、私は絶対子供が欲しいと思ってます。
きっと楽しい18年間になるでしょうし、死ぬまで大切にできる思い出と経験を、子供は与えてくれると思うのです。
たとえ18歳で私のもとを離れどこかに行ってしまったとしても。
…でも、それにしたってコスパ悪い(笑)。
18年後にどこかに行ってくれたらむしろめっけもので(笑)、
逆に、いつまでも自分の元を離れず、死ぬまで自分にとって苦労の元になる可能性だってあります(笑)
あなたはどう考えますか?
子供が欲しいかどうか、よく考えてみて下さい。
保留だっていいんです。でも、自分の意思で保留にしてください。
「友達はみんな子供がいるから」
「親が子供をつくれとうるさいから」
「なんとなく社会の目が…」
「夫の意思がわからないから…」
周りは関係ありません。
あなたが、もしくはあなたとパートナーが、自分達自身で決めればいいと思います。
旦那さんとも話合ってみて。
よく考えて、「それでも子供が欲しい!」と思えるなら、
ご自分の状況と照らし合わせて、今なにができるのか考えてみて、実際に行動してくださいね♡
2021.5.1
村田佳菜子医師