「女性のセックスの悩みの背後にパートナーあり。彼女たちは挿入に何を求めているのか?」
女性性機能外来では、
挿入障害の女性たちの恋愛事情を事細かに聞かせて頂いています。
なぜなら、
挿入障害は彼女たちだけの問題でない場合が多いですし、
治療に際してはパートナーとの関係が非常に大事な要素になってくるからです。
性科学会の前会長の大川玲子先生は、
「パートナーが診察に一度も同伴しなかった患者さんで治癒した人はいない」と仰っていました。
それほど、パートナーが挿入障害に対して向き合う姿勢があるかどうかは重要な要素なのです。
ちなみに、私の患者さんの中には、
パートナーが一度も来院されなかった方でも治癒されている方もいらっしゃるので、ご安心を(笑)
要は
「パートナーが来院するかしないか」ではなく、
「パートナーに向き合う姿勢があるかどうか」ですから(笑)
患者さんたちに確認することは
・現在、パートナーがいるかどうか。
・現在のパートナーといつ知り合い、いつ交際し始め、いつから性行為(挿入を伴わなくても)があるか、現在のデートの頻度、性行為の頻度、生活スタイル
・現在のパートナー以前の交際歴、性行為歴
などなど…。
お話をきいていると、パートナーとの関係性は様々です。
パートナーがいない方。
挿入障害がコンプレックスとなり、恋愛ができない方。
挿入障害がきっかけでパートナーと別れてしまった方。
挿入障害が原因のひとつとなり何度も別れを経験している方。
婚約破棄されてしまったなんて方。
挿入障害を克服したくてパートナーを作った方。
交際から15年以上、挿入障害で悩んでいるカップル。
パートナーが海外にいて何か月も会えないけど、次に会うときには挿入ができるようになりたい、というカップル。
始めから挿入は諦めモードで、とにかく妊娠したいというカップル。
挿入ができるようになって結婚を決めたカップル。
……。
最近あることに気付きました。
挿入障害が治癒した女性のほとんどは、
結果的にゴールを「パートナーのpenisが挿入できて、腟内で射精ができること」に設定しているということです。
どうゆうことかというと、
「パートナーのpenisが挿入できて、腟内で射精ができること」が達成されると、みんな自分から卒業していくんです(笑)
いちお、
followのために数か月に一度来院されることをお勧めしているのですが、「もういいですよね??」みたいな雰囲気(笑)
や、いいですよ(笑)
「いいですけど、挿入しているときは、気持ちいいですか?」てきくと、
「いえ、あんまり」
「こんなかんじですか?」
「痛くないけど違和感あるので、すごい顔でしてます」
「そのうち気持ちいいと思えるもんなんですかね?」
とか…。
でも、皆さん満足そうです。
なぜか?
それは、彼女たちが「気持ちのいいセックスができないこと」が悩みだったわけではなく、
「パートナーのpenisが挿入できないこと」
「パートナーの精液を腟で受け止めてあげられないこと」
が悩みだったからなのです。
ので、ここが解決できただけでかなり満足度が高いようなんです。
今までセックスをしても、
挿入や射精ができないことで、幾夜となく二人の間に流れた「諦めの空気」「気まずい雰囲気」…。
「今日もやっぱりできなかったね…」口では言わなくてもお互いそんな風に思っていたわけです。
本来、性行為はふたりの親密度をあげるためのコミュニケーションツールの一面を持つはずなのに、
性行為をするたびに気まずい思いをする。
わかります。私も以前腟内射精障害の男性とお付き合いをしたことがあるので、なんとなくわかります…^_^;
それが、
「やっとできた」
「今日は大丈夫だった」
「痛くなかった」
「射精できた」…。
パートナーとの親密度を上げることができたことで、みなさん満足して私のもとを離れていきます(笑)
「挿入が気持ちよくなるにはどうしたらいいでしょうか?」
と質問してきた人、あんまりいなかったんです。
それが、初めてその悩みを打ち明けた治癒後の方がいらっしゃいました。
詳しく状況を問診していると、言いづらそうに彼女が言いました。
「実は、彼とお別れしたんです」
「お別れしたけど、セックスの関係は続けているということ?」
「そうです。できるようになってから、別れることになりました。せっかくできるようになったから、セックスはしたいし、彼のことがまだ好きなので、関係を続けています。」
なるほど…。
別れの原因は、セックスとは別のところにあるようでした。
おそらく、挿入障害は治癒できたけど、彼が精神的に彼女から離れてしまったため親密度があがらなかった。
挿入障害は克服できたけれど、
彼とのセックスという意味では、親密度を感じることができず、満足度が上がらなかった。
満足度を上げる別のアプローチとして、気持ちよさを追求しようとした。
そうゆうことなのかな?と思いました。
こうゆう場合、治療法はいくつかあると思いますが、彼女の場合はパートナーを変えてみるのがいいのかな?と思っています。
私としては、安全で誰も傷つかないのであれば、別に誰が誰とセックスしてもいいと思っているので、この関係を解消した方がいいとは言いません。
でも、パートナーの気持ちが彼女から離れているのであれば、親密度を上げるのは難しい…
もしくは別の新しい関係性の構築が必要ですが、それ自体も難しい…かな??
…と頭の中では真面目にいろいろ考えていましたが、
実際の外来の様子はもー女子会(笑)
「すごい気持ちわかるけど、ほかも探した方がいいよー」
「でも、もうこの年だし、今更かな…て思って」
「何言ってるのー。○○さん何歳でしたっけ?(カルテを見つつ)なんだ、○○歳!私なんて来月36ですよ!絶賛婚活中~」
「え!?先生年上なんですか?勝手に年下と思ってました(笑)」
「(笑)。そーだよー。○○さんだってこれからだよー」
「なんか、ちょっと元気出てきました…」
女性のセックスの悩みの背後にパートナーあり…。
あらゆる角度から解決方法を考えます。
こんな雰囲気でいつも診療しております。どうぞ気軽にご相談下さい。
横浜元町 女性医療クリニックLUNA 女性性機能外来でお待ちしております♡
2021.4.26
村田佳菜子医師