閉経後に増える膀胱炎と耐性菌のリスク ~フェムゾーンケアの重要性~
閉経後、膀胱炎を繰り返すようになったというお悩みは、当院でも多く寄せられます。こうした「反復性膀胱炎」には、加齢による身体の変化が深く関わっています。さらに近年では、抗生剤が効きにくい「耐性菌」の存在も問題視されるようになってきました。
■ なぜ閉経後に膀胱炎が増えるの?
女性は閉経を迎えると女性ホルモン(エストロゲン)が急激に減少します。それに伴い、腟や外陰部の粘膜が薄くなり、腟内の善玉菌バランス(腟内フローラ)が乱れやすくなります。この状態では細菌の侵入を防ぐバリア機能が低下し、膀胱や尿道周辺の防御力も弱まるため、膀胱炎が起こりやすくなるのです。
■ 抗生剤が効かない?耐性菌のリスクとは
膀胱炎の治療には通常、抗生剤が用いられます。しかし、抗生剤を繰り返し使用することで、薬が効きにくくなる「耐性菌」が増えてしまう恐れがあります。実際、閉経後の膀胱炎患者さんのうち、約20~30%に耐性菌の存在が指摘されており、予防がとても大切です。
■ 膀胱炎予防の鍵は「フェムゾーンケア」
女性医療クリニックLUNAでは、閉経後の膀胱炎対策として、腟まわりのケア=「フェムゾーンケア」の習慣化をご提案しています。日々のスキンケアと同じように、腟の健康を守るためのケアを取り入れることで、腟粘膜の状態を整え、膀胱炎の予防につながることが期待されます。
■ 当院でご提案しているケア方法
以下は、当院で取り扱っているフェムゾーンケアアイテムや医療機器の一例です。
【1】ホルモンケア・スキンケアアイテム(※自由診療)
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フェムゾーンケアソープ:抗菌・保湿・消臭・抗炎症など多機能な専用ソープ
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フェムゾーンケアジェル:肌バリアをサポートしながら腟内環境の改善をめざす保湿ジェル
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アディショナルEオイル/Tオイル:ホルモン成分を補い、粘膜のうるおいを保つオイル
【2】ゼリープラス(腟洗浄スティック・※自由診療)
乳酸菌を含んだスティックタイプの腟洗浄器です。週に2~3回の使用で腟内フローラのバランスを整えることが期待されます。衛生的な使い切りタイプで、初めての方でも使いやすい設計です。
【3】インティマレーザー(※医療機器/自由診療)
腟粘膜を刺激し、潤いとハリをサポートするレーザー治療です。月に1回の施術を3回程度行うことで、腟内のバリア機能を高めるサポートをします。
■ 腟ケアは「年齢を重ねた今こそ」大切に
顔や体のスキンケアと同じように、腟にも毎日のケアが必要です。特に閉経後は、日々のちょっとしたケアの積み重ねが、将来の膀胱炎予防にもつながります。
当院では、患者さまの状態に応じたケア方法をご提案しています。「最近、膀胱炎が増えた」「抗生剤が効きにくくなってきたかも…」と感じる方は、一度ご相談ください。
■ まとめ
閉経後に膀胱炎を繰り返す原因には、女性ホルモンの減少による腟環境の変化や耐性菌の関与が挙げられます。医師のサポートのもと、日々のフェムゾーンケアを取り入れることで、予防が期待できます。女性医療クリニックLUNAでは、フェムゾーンケアのご相談を随時受け付けております。お気軽にご相談ください。
2025年4月7日
中村綾子医師