泌尿器科・診療内容

GSM-閉経後性器尿路症候群-

はじめに

“デリケートゾーンのかゆみ”、“尿モレ”、“セックスの時の痛み”があれば、
あなたは、GSM(閉経後性器尿路症候群)かもしれません。

女性ホルモンの欠乏で引き起こされる病気とは

女性は、45歳〰55歳の間に95%以上が閉経を迎えます。閉経すると卵巣が分泌する
エストラジオール(もっとも主要な女性ホルモン)が、平均して、30歳くらいのピーク時の10分の1くらいになってしまいます。しかし心配しないでください。エストラジオールは、10分の1くらいで保たれれば、それで充分なんです。問題は50%くらいの女性は、さらにエストラジオールが低下して、測定できなくなるほどに低下してしまうことです。そしてそのため①認知症、②泌尿生殖器の症状、③動脈硬化症 ④骨粗鬆症の4つの病気が進行してしまいます。(図1) だれがこれらの症状に悩み、だれが悩まないかは、遺伝子によって決められています。つまり残念ながらエストラジオールが測定できなくなるほど低下してしまう遺伝子をもった更年期をすぎた50%の女性は、早期から4つの疾患群にならないような予防が大切です。

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GSM-閉経後性器尿路症候群-とは

エストラジオール低下の症状のうち②泌尿生殖器症状は、以前は老人性膣炎という、差別的な名称で呼ばれ、年をとったんだからしかたないものとして放置されていました。しかし2014年に国際女性性機能学会と米国更年期学会が、新たな疾患概念を提唱しました。
それがGSM-閉経後性器尿路症候群―です。これは閉経後の女性ホルモン低下に伴う、外陰・腟の萎縮変化およびそれに伴う不快な身体症状症候群で、従来の老人性膣炎という単語に比較して、症状・病態を包括的に受け入れる概念であるとされました。そしてこのGSMは慢性かつ進行性疾患であり(つまりゆっくりであるが、どんどん進行する)、閉経後の半数以上の女性の生活の質が、GSMによって低下していることが明らかにされたのです。
GSM症状は、腟乾燥感、腟・外陰のムズムズ/灼熱感/掻痒、尿失禁、頻尿・尿意切迫感、排尿困難感、性交時の潤い不足、性交痛、性的欲求低下・オーガズム低下など多岐にわたりますが、

3大徴候は、

“デリケートゾーンのかゆみ”、
“尿モレ”、
“セックスの時の痛み”です。

GSMの原因

GSMの原因に関しては、もっとも早く世界でGSMに対するフラクショナル炭酸ガスレーザー治療器として米国食品医薬品局(FDA)の認可をとったモナリザタッチのホームページに詳しく書かれていますので、これを転載します。

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GSMの治療

GSMは、閉経後の女性ホルモンの低下によっておこる病態ですから、その治療の第一選択肢は、女性ホルモンの補充です。しかしここに問題があります。
 日本には、ホットフラッシュや抑うつ気分などの更年期障害に対する全身の女性ホルモン補充治療薬は、クリニックで処方される保険適応薬がたくさんあります。剤型は、飲む薬、貼り薬、ぬリ薬と種類は豊富です。
しかしこの全身へ女性ホルモン補充には、問題点があります。①まずは、乳がんや子宮がん、血栓症などの既往がある女性には処方できないこと。②またGSMの人は、長年の性ホルモンの低下よりデリケートゾーンの女性ホルモンや男性ホルモンの受容体(レセプター)が少なくなっているため、全身の女性ホルモン補充では、充分に症状が改善しない人が多いこと。③さらに50歳〰60歳くらいの女性には、どの婦人科でも、全身の女性ホルモン補充薬が、気軽に処方されますが、60歳を超えた女性には、血栓などの動脈硬化のリスクがあがるとして医師が処方に慎重になることなどです。
つまり90歳まで元気に生きる日本の女性のGSMには、現在健康保険でクリニックで行われている全身の女性ホルモン補充療法では、対応できないのです。
そこで性ホルモンの局所治療が必要となります。しかし現在この分野の健康保険の適応薬は、エストラジオールより副作用のすくないエストリオールの膣剤しかありません。そのため女性医療クリニックLUNAグループでは、薬事法の規定が緩やかだったころに認可を取得した数種類の市販のエストラジオールやテストステロン含有クリームやオイル、さらに院内で製剤した手作りエストリオールクリームを使用してGSMの治療をしています。
さらに血流を増加するために、積極的に骨盤底リハビリテーションや、ピフィラティスなどの運動療法を導入しています。そしてこの2種類の治療でも改善しないGSMには、フラクショナル炭酸ガスレーザーの腟・外陰照射(図3)をお勧めしています。GSMに対するフラクショナル炭酸ガスレーザー治療は、デリケートゾーンの皮膚・粘膜のリモデリングを促進し、GSM症状を改善し、デリケートゾーンの若返りをめざす治療です。(図4)
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さらにこれらの医療による治療に加えて、老化を防ぐために、フェイスと同様にデリケートゾーンにも日々のケアが必要です。女性ホルモンを使用できない人にも使用できるように、女性医療専門家関口由紀がプロデュースしましたLUNAPRIDE スキンプレミアムも、フェイスと外陰部の皮膚にご使用いただけます(※粘膜部位は避けてご使用下さい)両方に使用できる美容液として開発しました。(図5)

現在セックスをするパートナーがいても、いなくてもデリケートゾーンのお手入れは、エイジングケアにとっても大切です。顔は実年齢より若々しいのに、体は実年齢より老けているでは、アンバランスなエイジングケアです。まずは、毎日フェイスと同様に、保湿剤で、外陰の皮膚の健康を保ちましょう。さらに欧米では、特に現在セックスパートナーがいない場合や、腟の萎縮が気になりだしたら、積極的にダイレーターやバイブレーターを使用する時代になっています。またセックス時の愛液の減少が、気になる場合は、早めのパートナーと相談して積極的に、潤滑剤を使用しましょう。さらに性的意欲が落ちている場合は、医師と相談して、テストステロン補充を試してみましょう。性的意欲のアップとともに、生きる意欲も上がってきます。長年の抗うつ剤が効かない鬱がすっかりよくなったりする人もいます。

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さいごに

image 最後に、私、関口由紀は、女性医療専門家として“エイジングケアに必要な6要件”を日々患者さまに唱えています。その6つとは、

1.血管を守る
2.骨を守る
3.うつ状態にならないように気をつける
4.皮膚の老化を防ぐ
5.筋肉量を維持する
6.癌を早期に発見する


です。日々の努力で最小限の女性ホルモンレベルを維持することは、1~5につながっていきます。
毎日明るくハツラツと、50歳以降の人生を送っていきましょう。
2018/4/2更新