泌尿器科・診療内容

間質性膀胱炎

image 間質性膀胱炎は、何らかの原因で膀胱の粘膜の障害がおこり、尿に含まれた刺激物質が膀胱粘膜下の間質に侵入し、炎症をおこし、刺激感や痛みを起こす病気です。

最近では国際的には、間質性膀胱炎よりも膀胱痛症候群という呼び方をされるようになっています。また膀胱痛症候群を含む概念に、慢性骨盤部痛症候群というのもあります。慢性骨盤痛症候群とは、悪性の病気や明らかな感染がないにもかかわらず、下腹部に痛みがある病気での総称です。この中には、間質性膀胱炎、重症の月経時痛、子宮内膜症関連痛、外陰部痛、過敏性腸症候群などが含まれます。


 これらの疾患は、それぞれ泌尿器科、婦人科、内科・外科で別々に治療されていたのですが、それぞれの合併率はとても高く、相互に関係し合っていることが分かってきて、欧米では、より総合的に治療しようという気運になっています。そしてこの慢性骨盤部痛症候群の全ての病態が、女性性機能障害の原因になります。慢性骨盤痛症候群がある女性が、セックスすると下腹部痛はさらに悪化する傾向にあるため、女性はセックスを避けるようになります。アメリカのような夫婦関係においてセックスが重要な国では、男性にとっても、女性にとってもこの問題は非常に深刻なのです。

 間質性膀胱炎の診断は、麻酔なしの膀胱鏡では確定診断が難しいので、麻酔をかけて、膀胱に水圧をかけて膨らませることにより膀胱を日常の状態より拡張させ、膀胱粘膜に亀裂がはいり出血するハンナ―病変や、点状出血が出現することを確認することが必要とされています。この麻酔下水圧拡張法は、施術後8割の患者の痛みや頻尿が改善するので、診断もできて治療をできるというすばらしい方法です。この水圧拡張は、麻酔医が常勤する大病院では、現在健康保険適応になっていますが、LUNAのようなクリニックでは、健康保険適応されません。さらに最近では、間質性膀胱炎に対するA型ボツリヌス毒素(ボトックス)の膀胱壁注射治療が、欧米で広く行われるようになってきました。LUNAでも、健康保険適応外ではありますが、このボトックス膀胱壁注射療法をすでに施行しており、成績は安定しています。膀胱水圧拡張治療と、膀胱壁ボトックス注射治療は、重症の間質性膀胱炎の場合は、ぜひ積極的に行いたい治療です。
しかしそこまでしなくても内服薬で治療可能な患者も多いのも現状です。内服治療には、粘膜下の炎症や痛みを抑える治療と、脳(中枢)の知覚過敏を抑える治療の両方が必要です。


 間質性膀胱炎を含む慢性骨盤部痛症候群は、なるべく初期の痛みの軽いうちに、治療を開始したほうが治りやすいことが、痛みの理論からわかっています。痛みは、それを感じている期間が長いほど、その大きさが大きいほど、脳の視床下部というところに悪影響を及ぼし、だんだん短い小さな刺激も、長く大きく感じるようになります。痛みに対する知覚過敏がおこるのです。知覚過敏の状態を起こさないためには、早期の内服治療開始が必要です。
間質性膀胱炎の治療においては、末梢の炎症を抑えるためには鎮痛剤や抗アレルギー剤、また粘膜の刺激を抑えるために、尿のPH(ペーハー)をアルカリ化する胃腸薬や尿アルカリ化剤などを用います。中枢の知覚過敏を改善するために、脳内のセロトニンやアドレナリンの濃度を上昇させる抗うつ剤の比較的少量投与が必要です
また日常生活でのストレス解消もとても重要です。たとえば定期的に鍼灸治療やマッサージを受けてリラックスしたり、温泉や銭湯などに行きゆっくり入浴し、温めて痛みを緩和をはかれば、骨盤内の不快感がかなり解消できます。


 生活に話が及んだところで、最後に少し食事の話も付け加えておきます。慢性骨盤部痛症候群の原因の1つに食事があります。痛いときに食べたり飲んだりするのを避けたほうがよい食事はだいたい推定されています。代表的なものは、アルコール類、カフェイン含有飲料、柑橘系のくだものやそのジュース、トマトとトマト料理、チョコレートやナッツ類などです。下腹部痛を感じながら、コーヒーや、グレープフルーツジュースなどを毎日飲んでいる人がいたら、一度だまされたつもりで、控えてみることをお勧めします。