コラム

人間は、1日600キロカロリーでも生きていける?

image 以前仕事で富山に行ったことがある。その時、空いた時間に、高岡の万葉博物館に行った。
高岡は、万葉集の編纂者大伴家持が国司として4年ほど滞在し、ここで家持の代表作の多くが詠まれた地とのこと。それで万葉博物館があるのだ。  博物館では万葉集の優美な世界に浸れるわけだが、私が興味惹かれたのは奈良時代の日本人の食事が再現サンプルだった。結構いろいろな地域の博物館で、各時代の食事の再現サンプルを見た経験があるが、どれも結構豪華な印象だった。しかしこの万葉博物館の再現サンプルは、ひどく質素だった。  貴族の食事は、1日の総カロリー摂取量は1200キロカロリー程度だったそうだ。
これは、現代人の基礎代謝量くらいに相当する。つまり何もせずゴロゴロしている時に必要なカロリー数である。肉体労働はとてもできない。しかし炭水化物・たんぱく質・ビタミン・ミネラルのバランスがとれた低脂肪のダイエット食という印象なので、たぶん身長150cm以下の小柄な奈良時代の日本人ならば、頭脳労働は可能だったろう。

女性医療クリニックLUNAグループ 関口由紀理事長
問題は庶民の食事である。玄米と塩と昆布の細切りのようなメニューだった。1日の摂取カロリーは、500-600キロカロリー程度だったようだ。
この超低カロリー、超低タンパク、超低ビタミン&ミネラルな食事で、農作業を行い、セックして妊娠・出産したわけだ。これは驚きである。しかしそうでなければ日本人は、この時点で途絶えていたはずである。
劣悪な栄養状態でも繁殖できた人間の子孫だけが、現在生き残っているとも言える。 考えてみれば丈夫な若者は、長期におよばなければ、結構いい加減な食事をしていても、結構元気である。
食事の不摂生が、ダイレクトに体に響くのは、40歳以上の中高年だろう。劣悪な栄養状態でも成人できるような丈夫な子供は、劣悪な栄養状態でも妊娠・出産できるのだろう。しかし生殖を終えた40-50歳になるとそうは行かない。低栄養は、組織・臓器を損ない老化が急速に進行する。奈良時代の40歳-50歳の庶民は、本当に老人に見えただろう。 そういえば岡山の桃太朗伝説ではあるが、このおじいさんとおばあさんは、川から流れてきた桃太朗を拾って育てたことになっているが、実は当時としては珍しい40歳前後の夫婦が、自分の子供をもうけて育てた話しらしい。恥ずかしいので、桃からでてきたことにしたのだとか。 ところで現代のアンチエイジング理論の中心理論は、摂取カロリーの制限である。
いつまでも若く・美しくあるためには、最適な栄養バランスの食事を少量とらなければならない。
これって結構むずかしい。そこでサプルメントが登場するのだが、サプリの話はまた今度。